end of the line

デジタルモンスター、特にデジモンフロンティアについて、一ファンの視点から様々な記事を展開しています。

デジモンフロンティア43話『故郷消滅!地獄の使者スカルサタモン』が地獄すぎる


あらすじ開幕から腹パンされるマグナガルルモンで大草原





今回はデジモンフロンティア43話『故郷消滅!地獄の使者スカルサタモン』のちょっとした紹介記事になります。
「何でこの回?」と疑問に思った方もいるでしょう。端的に申し上げますと、先日ニコニコ生放送で行われた一挙放送で再視聴したら「メチャクチャ面白かったから」です。




live.nicovideo.jp

ニコニコ生放送では、 9月30日(土)劇場上映 デジモンアドベンチャー tri.第5章「共生」 を記念して、8月19日(土)~8月31日(木)の連日、「デジモンフロンティア」の上映会を行います。

15周年記念じゃないのか…*1

ま、無料で見れるだけ有難いでしょう。

かつて『負けるはずがないのさ(笑)』とまでいわれた超越形態サーガ(36話~47話)の中でも、47話並にポテンシャルが高い回でした。
「故郷全滅!」と題名の時点でネタバレという潔さもポイントです。超越形態大敗北!地獄の未来へレディー・ゴーッ!


~あらすじ~

デジタルワールド(以下DWと表記)のデータを利用して復活しようとする凶悪なラスボス(人工知能ではない)ルーチェモンと部下のロイヤルナイツ達。
ルーチェモンの復活と支配を阻止するべく、拓也達は果敢に立ち向かう。
ところが、ロイヤルナイツの力は強大で、味 方 の
ス ピ リ ッ ト を 全 て 使 う「ハイパースピリット・エボリューション」でも太刀打ちできず、デジタルワールドのデータを奪われるままの日々は続いていた。
前回は、死んだデジモンのデータが戻り、デジタマとして新たな命をさずかる場所“始まりの町”を訪問。デジモンの赤ちゃんとキャッキャしつつ、デジタルワールドを守りたい!と気持ちを新たにする拓也達。始まりの町は消滅しちゃったけど、デジタマは守れたし、モーマンタイ・モーマンタ~イ!


それでは、43話本編に行ってみよー。



「やったぞい!伝説の十闘士のパワーは生きておったんじゃ~!」
やたら元気なボコモンを尻目に「負けたも同然だよな…」と弱気になる子ども達。前回、デジタマこそなんとか死守したものの、結局始まりの町はマモレナカッタ…んですからね。揃い踏みしてもダメなものはダメだったのに、十闘士のパワーが揃ったから何なんだよっていう。

始まりの町を失い、自身もボロボロになり、大量のデジタマだけ残されたスワンモンが不憫でなりません。何とか安全な場所(とは言っても、この世界に安全な場所なんてないような気もしますが)でフォローを受けて貰いたいところです。

そこに炎の街から逃げ延びたポヨモンが現れ、拓也達は炎の街、及び付近の緑の森が消滅の危機に陥ってることを知ります。

自分が初めて進化した場所なのにどこか他人事みたいな反応の拓也が気になりますが、「消滅なんかさせない!」と持ち前の正義感で、救出に向かうことを決めます。


土地は失っても何故かレールだけは残されているので、子供達はトレイルモンに乗ってラクラク移動。逼迫した事態に対しどこか呑気ですが、多少の休息はね?



所かわって炎のターミナル近辺。ジモティの成長期デジモン達が、ロイヤルナイツの手下であるスカルサタモンになぶり殺されるという、壮絶な光景が繰り広げられています。
スカルサタモンの声優は関西弁やオカマ役に定評のある小野坂昌也さん。ネットリとした小悪党的な演技が印象に残ります。

襲撃されたデジモンピヨモンパルモン、ガジモン、ポヨモンと、まるでスタッフが特定作品に悪意でも持ってるかのような顔ぶれですが、きっと気のせいでしょう。

[asin:B0196GEBYO:detail]


どうやらスカルサタモンは炎のエリアのデータを探しているらしく、「データの在処はどこだ!」と近辺のデジモンを脅しているようです。従わなければ即抹殺。


こいつが結構残忍で、茂みに隠れたガジモンの尻尾を掴んで引きずり出し、脅しに屈したガジモンがデータの在処を教えたら用済みとばかりに処分。まるで世紀末のような(DW的にはまさしくその通りなのだが)光景。拓也ー!輝二ー!早く来てくれー!





一方その頃、ようやく炎のターミナルに到着した6人組+マスコット一味。
「炎のターミナルに戻ってきた~!(上機嫌)」とすっかり観光気分です。


子ども達は「炎のターミナルは無事みたいだ」と言っていますが、この天空の城みたいな光景を見てると、とてもそうとは…
表情や態度を見るに、虚勢とかそんなんではなく素で言っている可能性が高いです。


とか言ってたら付近の森林エリアが消滅。スカルサタモンがデータを奪ったのです。
それを見てわんわんと泣き出すボコネーパタコンビの前に現れたのは、先程のピヨモンたちでした。

「泣いたってどうにもならないよ!もうこの街もおしまいだ!」\おしまいだ!おしまいだ!/

「あーあ!お前らだったら何とかしてくれると思って、俺たち残っていたのに、頼りにならねえな!」 \頼りにならねえ!/

「こいつらが伝説の十闘士のスピリットを手に入れたときは、みんな期待してたくせに!」\そうだそうだ!その通りだ!/

「いつかなんて待ってたら、あっという間に大人になっちまうよな!」\まったくだよ!/*2

拓也達を待っていたのは、現地デジモンたちによる罵詈雑言の合唱会でした。
ネガティブな上に他力本願と、成長期達の言い分にはマイナスイメージしか持てませんが、拓也達が不甲斐ないのもまた事実(現在3連敗)なので、何も言い返せません。
こんなんじゃ俺…DWを…守りたくなくなっちまうよ…

「せめてふるさとの最期を自分の目で見ておきたい!そう思ったから僕たちは残った」と、現地人にすら「自分のふるさとを守ってもらえない」という前提で話をされており、拓也達は全然信用されていません。ひどい話ですが当然でしょう。
子供達は「自分達の土地なんだから自分達で守ろうとしろよ」と正論をぶつけますが、非力な成長期相手にそんなことを言うのも酷なものです。

今回はいつにも増して逆張りオタクみたいなことを口走ってたネーモンは
「責めないで、力のないデジモンじゃ仕方ないんだ」
と成長期達のフォローに回ります。
お前はどっちの味方なんだよ。
ていうか、普段無用心なことを言ってはボコモンにゴムパッチンされてるキャラが、主人公たちがなじられてるときに、相手側のフォローに走るのも単純にムカつく…ムカつかない?

今回拓也達は、今まで何回も敗走したツケを罵倒という形で支払わされていました。
思えば、38話以降の戦いでは、土地・デジモンの命・住民たちの安穏…と常に何かが失われ続けていました。住民たちにとってプラスになる成果が出ない以上、痺れを切らせた心無い住民から罵倒されてもおかしくはありません。拓也達もちょっとは勝たせてやれよ!とも思いますが、「DWが消滅しないとルーチェモンが復活しない=ラスボスが倒せない」というクソ設定のせいでそれも叶いません。結果、オチが見えきった話を延々と続けることになってしまいます。
故郷や仲間を失った成長期デジモンもツラいし、体を張って頑張っているのにこんなことを言われてしまう拓也達もツラいでしょう。
それでも、一番ツラいのはこんな茶番を見せられてる視聴者たちですよ。


そうこうしてるうちに「茶番は終わりだ!」とスカルサタモンが現れ、学芸会会場は一瞬で地獄に変わります。
拓也と輝二はすかさずカイゼルグレイモンとマグナガルルモンに進化!

カイゼルグレイモン!! マグナガルルモン!!
進化バンクは本当にかっこいいんだよな…なお活躍

「お前たち、ロードナイトモン様が言ってた腰抜け野郎か!」
ロードナイトモンがスカルサタモンに腰抜けだと説明してたのならなんか和みますが、何度も戦った敵に未だにそう思われているのなら情けないです。
「ビビッて何も言えねぇのかぁ?w」とチンピラみたいな口調で超越形態を煽るスカルサタモンですが、相手は無言で突っ立ったまま。はてさて、拓也達は何と言い返すのか?

カ「どこが楽しい?ルーチェモンの都合のいいデジモンなんか、誰もなりたくない!」
マ「ただひたすら上の者の言いなりになる。そんなお前たちは哀れだなw」
カ「今からでも遅くはない!この場から立ち去れ!!」


カッコいいポーズ!

格下の完全体相手にイキリ形態と化していました。前回はロイヤルナイツにコケにされまくってた癖に…と考えると笑えてきます。
言っても無駄だと判断したのか、スカルサタモンに炎龍撃とマシンガンデストロイをぶち込む拓也達。相手はたまらずダウン。お、今回はさほど苦戦しなかったな!この勢いでトドメを刺せれば…

マ「わ ざ と 急 所 を 外 し た 。もう一度だけ心を改める機会をやる。立ち去れ!」

いやいやいや、こいつら土地のデータを奪いに来てるんだけど!?そんな悠長なこと言ってる場合じゃないでしょ!?即刻排除して土地のデータを守らなきゃ!



そんなこと言って舐めプしてたら、スカルサタモンが三匹に増え一気に形勢逆転。ほら~さっさと倒しておかないから…



マズいですよ!

特に何の理由もなく、しかも無抵抗で格下のはずのスカルサタモンに鹵獲されるカイゼルグレイモン、それをなぜかマグナガルルモンにぶつけるという、情けなさすぎて逆に笑えてくるカット。普通にネイルボーン撃てばいいじゃん。
コンテを切ったスタッフはこの時何を考えていたのでしょう…。


完全に流れが変わったところで、スカルサタモンが(何故か戦場に居座ってた)ピヨモンを捕らえ、遂にデータの所在地が割れてしまいます。こうなると後は時間の問題。情けをかけてはいられません。
ピヨモンにたいして「はあ…」とため息をついているボコモン達が感じ悪い。
正直に答えたのに倒されたピヨモンを見て覚悟を決めたのか、成長期デジモン達は遂に「自分達の手で故郷を守ろう!」と立ち上がります。頼みの超越形態もあんなだし。


それ(挿入歌の歌詞)が嘘でもかまわない 立ち続ける動機になれば

スカルサタモンに狙われた成長期の助けに入るマグナガルルモン。
21話、37話と輝二は庇うことだけならプロフェッショナル級です。
必殺技のマシンガンデストロイが炸裂!

ノ ル マ 達 成 とパージした瞬間!


うおあ~!(迫真の神谷シャウト)」

スカルサタモンの攻撃をもろに食らってしまい、

逆にカイゼルグレイモンに助けられてしまいます。
こいつ本当に何をやっても面白いな。


がんばえ~カイゼルグレイモン!マグナガルルモン!(無関心)
頭の上に幼年期デジモンたちが乗っかってるのがジワジワくる。



剣使って❤


九頭龍陣!
最後はカイゼルグレイモンが三匹纏めてサクッと倒しちゃいました。
マグナガルルモンと成長期は申し訳程度にダメージを与えたのみです。なんのために出てきたんだアンタら。

スカルサタモンを倒してご機嫌なギャラリー達。ところで土地のデータが丸裸ですが大丈夫?こんな野ざらしの状態で他に敵が来たら…


???「倒れた仲間たちの残り香は悲しき香りがする。スカルサタモン3兄弟、私への忠義、美しかった…手向けの花だ…(薔薇エフェクト)」

やっぱりロイヤルナイツがやってきたじゃないかーデータがうばわれてしまったー(棒読み)


消滅する故郷を前に、カイゼルグレイモンとマグナガルルモンが素早く成長期達を回収します。何回も同じ目に遭ってるだけあり、こういうときは手際が良いですね。負け癖がついた証拠です。

ロードナイトモンに美味しいところを持っていかれ、またしてもデジタルワールドの危機を救えなかった拓也達。38話、41話、42話に続いてこれで四連敗です。信じられないだろうけど、こいつらこの後も負け続けるんだぜ…?




拓也達、内心(やっちゃったわ…)と焦ってそう。てか焦ってもらわないと困る。




無残な廃墟と化した故郷を前に、いつもの抑揚のない口調で「ふるさとがなくなっちゃった。」とネーモン。一応ネーモンの出身地なはずですが、これでは悲壮感も糞もありません。お前もう喋んな。
格下相手のバトルに夢中で、当初の目的であったデータの保護を忘れてたというケアレスミスで敗北を喫したので、少しは悔しがったり狼狽する様子を見せるかと思えば、子どもたちや現地デジモンたちはいたって冷静です。





子どもたちの顔から感情が読み取れない。

ピヨモンは「故郷はなくなっちゃたけど、故郷の素晴らしい思い出は残ってる!」とやたら気丈なセリフを言ってきます。
その心がけ自体は大変結構ですが、思い出を糧に生きていくのって、割と後ろ向きな考えでは?
他のデジモンたちも「俺達が立ち向かったんだ!」という自己満足に酔いしれており、正直見ていて痛々しい。でも本人が満足してるのなら、もうそれでいいんじゃないかな…。


そして今回最大の問題発言、

パタモン「みんなやったですぅ~





やってません。故郷全滅してます。














地球儀にはがらんどうになったパラダイス 僕らの手で救い…出せるのかなあ…(不安)


an endless tale 、名曲なんだよなあ…。






デジモンフロンティア43話、いかがでしたか。
43話の真に恐ろしいところは「ツッコみ地獄」とも形容できそうな、全体的な荒の多さです。
「とにかくこの作品が伝えたいメッセージを受けとることだけに集中しよう!」というポジティブな見方をせず、まともに観ようとするとツッコミが止まらなくなります。
格下相手とはいえ超越形態が久々に良い戦いができてたのに、それを無碍にするように舐めプさせるやり方には頭が下がります。「力のない存在でも勇気を出して立ち向かうことが大切だよ!」といいつつ、結局は力のない存在がデータの在処を教えて足を引っ張る。一つの話の中でもテーマと結末がつながっていません。脚本家は視聴者をバカにしてんのか?

何が悲しいかって、この回を書いたのがシリーズ構成の富田祐弘氏であること、そしてこの回が43話だということですよ。
43話と言ったら、4クールのアニメなら最終決戦に向けて盛り上がっている頃ですよ?
他作品と比較するのは気が引けるんですが、前作『デジモンテイマーズ』の43話はあの
ベルゼブモンブラストモード初進化回
ですよ?今まで突っ張ってきたインプモンがパートナーの優しさを受け入れ、ついに一皮むけるという、作中屈指の名エピソードですよ?
どっちも4クールアニメという条件は同じなのに、どうしてこうも展開に差が…と何とも言えない気持ちになります。

更に前々作の『デジモンアドベンチャ-02』43話もインペリアルドラモンファイターモードが初登場と重要な回でしたが、この回のゲストで、インペリアルドラモンをはじめとする多数の味方側デジモンを苦戦させたのが、なんとスカルサタモンなんですよ。


ネイルボーンの効果で動きを止められる皇帝竜くん。この回はやたらヌルヌル動くネイルボーンのバンクも見どころです。

同じ回(43話)で同じ敵(スカルサタモン)に苦戦するとか…


ちなみにインペリアルドラモンの『インペリアル』は英語で『皇帝』という意味を表します。
カイゼルグレイモンの『カイゼル』も独語で『皇帝』という意味です。
同じ話数で同じ種族に苦戦…二人のネーミングの共通点…
果たしてこれは偶然だと言えるのか…?
真実は東映動画のみぞ知るところ。

デジモンフロンティア Blu-ray BOX』好評発売中です。43話もバッチリ収録されているので是非に。

*1:デジモンフロンティアは2017年に放送15周年を迎えました

*2: