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デジタルモンスター、特にデジモンフロンティアについて、一ファンの視点から様々な記事を展開しています。

デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 感想(ライト版)

 

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営業は大切

先日、デジモンアドベンチャー最新作…?のラストエボリューション絆を鑑賞してきました。


監督は田口智久氏。スーパーバイザーはみんな大好き関P、脚本は大和屋暁氏。発表当時こそ降板騒動で一悶着ありましたが、個人的フロンティア推し回ことトレイルモン墓場の脚本家なので、そう悪くはならんだろう、もしなったら今度こそデジモンアドベンチャーブランドの終焉だと楽観視していました。今更ですがマジですよ。

ということで今回は劇場版を見た上で感じたことを述べていきます。ネタバレは自重しないので自己防衛でお願いします。1回見たきりなので、間違ってるところもあるかと思います。

 

 


キャラクター

デジモンアドベンチャーシリーズなので、お馴染みのメンツが登場します。ただ90分弱の映画故に、メインで活躍するキャラは10人にも満たないです。太一、光子郎、ヤマト、タケル、ゲストキャラ、パートナー。キーパーソンたる太一・ヤマト、語り部の光子郎の3人はいいとして、他のみんなは叶えたい夢のために頑張っているのでほぼ活躍しません。まあ彼等にデジモンの怪異が関わる隙などないし、取捨選択のチョイスは正しいと思います。そんな脇役達も(不戦の意志を貫き通した空以外)終盤で戦線復帰しましたが、言動がレジェンドライダーじみてて笑った。
Twitterでも書きましたが、今回の太一は大和屋先生の癖がよく出ていたと感じます。具体的に言うと、自信過剰で喜怒哀楽が激しいところ。これはデジモンフロンティア21話や28話での拓也にも通じます。太一はもうちょっと冷静なところもあるだろ…とは思いますが、これはこれで愛おしかったのでベネです。パチンコ店でバイトしたり、主食はコンビニ飯だったり、エロ本を隠し持ってたりと、1人の若者としての側面が強調されていたのも特徴。ギャグ顔が豊富なのも面白い。そして何かあればすぐ曇ってたのはtri.の古傷かな?
ヤマトと光子郎は安定してましたね。スパイごっこが何とか黒幕へのカウンターとなりほっとしました。


今作で特筆すべきは02勢の扱いでしょう。tri.では文字通りいないものとして扱われていましたが、今作では
・太一達と顔見知りで、デジモンに精通している
・デジタルゲートによりどこへでも行ける
・みんな明るく元気がいい
という特性を生かし、太一達のサポートに回っていました。その騒がしさと微妙な心強さは、さながら少年探偵団(劇場版)のよう。「デジモンからの卒業」という重いテーマの合間で、箸休めとしてうまく機能していたと思います。tri.での不遇な扱いなど跳ね除けるかのようにきゃあきゃあとはしゃぐ02勢はとてもキュートで、微笑ましかったです。ラーメンを啜るチビモンが特に可愛い!単に可愛いだけでなく、戦闘面でもきちんと活躍するのもポイント。ジョグレスの都合上成熟期止まりですが(エアロブイドラモン等に進化させても良かったと思います)。とにかくラスエボは02勢の描き方がメチャ上手い!


演出

一本のアニメ映画として遜色ない出来栄えに仕上がっていました。戦闘シーンは流石に上等。板野サーカスやファンネルの動きなど、ロボットアニメじみた表現も贅沢に取り入れられています。中野での捕縛作戦は破壊描写や空中戦がダイナミックで、近年のデジモン作品の中でもトップクラスの戦闘シーン。ぶっちゃけもうこれだけで満足です。

自分がマグナガルルモン大好きだからかもしれませんが、ガブモン友情の絆は結構かっこいいと思いました。実弾中心のメタルガルルモンから、AIも活用した誘導兵器にシフトしていく所が、ガンダムの進化みたいでグッときます。ところがリアライズで「バイクに変形可」というギミックを隠し持ってたことが判明。記憶が正しければ、映画でそんなギミック披露してませんでしたよ。そういうのこそ映画で存分に生かすべきでしょう!デジモンは推しが次にいつ活躍出来るか分からないコンテンツなんだぞ!
また意図的に過去作のオマージュも盛り込まれていましたね。冒頭のパロットモンがその最たる例。なんかポケマスでゲンガーとニドリーノが戦ってたアレみたいだなと…。マンションに佇むリノアの頬に雨が伝っているようなシーンは「i wish」の一節からではないかという考察を見たときは「な、なるほど!」と感嘆しました。他にも有志がTwitterで検証しているので見てください(丸投げのデジメンタル)。ホルモン屋でちゃっかり流れてたけど、ウォゲのEDは本当に名曲だと思う。その上でディア逆のEDも好き。


シナリオ

太一達がゲストキャラとなんやかんやしつつ、無から発生した「大人になるとパートナーと別れることになる」という設定に翻弄されるストーリーとなっています。合間にかっちょいいバトルもあるよ!
一本の映画で完結するので、キャラクターが能動的に動きつつ、話はサクサク進みます。緩いギャグもあり、緊迫のサスペンスパートもありと、展開は起伏に飛んでいます。ただ終盤でネバーランド計画に打ちのめされるシーンが冗長に感じたかな。進化してーやられてーの繰り返しだからだろうか。

tri.6章の「次はデーモンかディアボロモンか…(笑)」がスルーされていますが、こんな迷言はスルーしていいですよ。
激闘の末、太一とヤマトはパートナーを失うことになります。お別れの流れこそ感動的ではありますが、定められた宿命を覆すことができなかったという点ではバッドエンドとも取れるでしょう。ただ太一達も何もしなかったわけではなく、宿命に抗いもがいた末に受け入れたので、無情感はありませんでした。
デジヴァイスの針が1になった時の会話。アグモンが太一の背を見て「おっきくなったね」と呟いたのは、じきに別れる太一へ向けた、大人になる太一への祝福のようでした。アグモンと太一、ガブモンとヤマトの間には終始優しい空気が流れていたのがすごく嬉しかった。


皮肉な話ですが、(少なくとも今作の)太一とヤマトは選ばれし子供から卒業したことで、ようやく自分の道を歩み始められたのでしょう。冒頭で迷っていた卒論概要がエンドロールでは完成していることからも示唆されます。

 


過去作との矛盾点
専門分野ではないので02博士の皆様にお任せします(何を言っても的外れになりそうで…)。作品の完成度とは別に、個人的には「これは角銅さんが距離を置くのも仕方ない」と思ってます。02のラストをねじ曲げた(精密に言えば過程と着地点をねじ曲げた)上でデジモンアドベンチャー完結篇と謳っているのですからね。仕方ないでしょう。

 
総評
はっきりと評価しづらいですが、一本の映画としては筋が通っており、良い意味で見所の多い作品です。tri.で曲がりなりにも各キャラの挫折と進化を描写してきたからこそ、今作は「別れ」に注力できたのだと思います。とはいえ02のラストの件は無視できませんが…デジモンアドベンチャーに一つの終止符を打とうという誠実さと冒涜が共在しており、さながら破壊と再生を司るスサノオモンのような作品でした(ポエム)
というかこの作品の1番の問題は、デジモンアドベンチャー完結!みたいな空気を出しとして4月にデジモンアドベンチャーの新作を出す所ですよ!最終章の後に続編を出すことなど長寿コンテンツじゃよくあることなんで割り切りますが、2ヶ月も経たないうちにそういうことをされたら茶番になるでしょ!そういうところだそ!!


さて、ラスエボでデジモン熱が高まったオタクの皆様には、今作の脚本を手掛けた大和屋暁氏が参加した「デジモンフロンティア Blu-ray BOX」の購入をお勧めします。セイバーズじゃなくて?フロンティアが売れればワンチャンあるかもしれないし…税抜き53800円。よしなに。

 

デジモンフロンティア Blu-ray BOX

デジモンフロンティア Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2019/04/02
  • メディア: Blu-ray
 

 

デジモンアドベンチャー tri. Blu-ray BOX

デジモンアドベンチャー tri. Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: Blu-ray
 

 tri.もあるよ