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デジタルモンスター、特にデジモンフロンティアについて、一ファンの視点から様々な記事を展開しています。

この進化バンクがすごい!~ヴリトラモン(デジモンフロンティア)編~

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スピリット・エボリューション!!


突然ですが、みなさんは“進化バンク”がお好きですか?

「進化バンクなんて、ただの尺稼ぎだ」
と思う人もいれば、
デジモンといえば進化バンクだ!」
と思う人もいるでしょう。

進化バンクとは、アニメ『デジモン』シリーズにおいて、沢山のキャラを動かす目的で生み出された技術のひとつです。作中で何度も活用するためにつくられた、カットシーンや音楽の集合体。それが進化バンクです。その名の通り、デジモンが進化する時によく流されます。
シナリオを盛り上げるため、コストパフォーマンスを上げるため、あるいは玩具メーカーの宣伝…進化バンクは『デジモン』シリーズにおいて様々な役割を担っています。登場人物数が多く、子供向け販促アニメとしての側面をもつデジモンとは切っても切り離せない存在です(進化バンクが存在しない作品もあるけど)。
デジモンシリーズは15年以上の歴史の中で数多くの傑作進化バンクを生み出してきましたが、その中でも特に良質なバンクが多数存在するのが、アニメ『デジモンフロンティア』です。

(※2017年8月20日 記事のタイトルを修正しました)

そして、今回紹介するのは、作品の主人公・神原拓也が進化するヴリトラモン』の進化バンクです。
デジモンフロンティアは、
・奇抜な設定
・レギュラー陣のパワーバランス
・同じ敵に負け続ける展開
…などの要因で、現在でも賛否両論分かれる作品です。まあ、昔より落ち着きましたけどね。
しかし、作中の進化バンクは総じて評価が高く、その中でもヴリトラモンは

「作中一番の出来」

「これほんとすき」

「フロンティアは見ても見なくていいけど、このバンクだけは見て」

…といった好意的な意見をネットの各所で見ることができます。
放送から15年以上経った今でも、こんなに支持されるのはすごいですよね!
自分自身、ヴリトラモンの進化バンクについては、デジモンフロンティア、いやデジモンシリーズ中トップクラスの完成度だと思っています。

では、そんな進化バンクの魅力とは何なのか?今回は、ヴリトラモンの進化バンクの良さについて語っていきます。



 設定を活かした演出

 
拓也達は2つのスピリットを使って様々なデジモンに進化(スピリットエボリューション)します。
安定性に優れたヒューマンスピリットと、攻撃力は高いが暴走のリスクがあるビーストスピリット。作中初盤~中盤にかけては、ヒューマン・ビーストの二形態をメインに戦っていきます。
拓也達がデジモンに進化するときは、もちろん進化バンクが挿入されます。
拓也のフォームはデジコードを読み取るときの緩急がはっきりしてて好き。
手をかざしてデジコードを読み込むまでの動作はヒューマンと同じですが、細かいところが異なります。

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①こっちがヒューマン進化
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②こっちがビースト進化

ビースト進化時に浮かぶデジコードはヒューマンのそれと比べて複雑になっており、「ヒューマンよりもパワーが強そう!」と期待が高まります。


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デジコードをスキャンした後は、構図も大きく変化します。ビースト進化はカメラが斜め下から煽るようになり、ヒューマンより立体的で、更なる躍動感が生まれています。

演出やカットの違いで、ビースト進化の特徴が視覚的に想像しやすくなっているのです。



テンポよく纏まったダイナミックな動作


ビースト進化の特徴はよくわかったかと思いますが、このバンク一番の見どころはなんといっても後半です。
てみましょう。


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拓也の身体にスピリットが纏われ…
見どころはここから!!


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マスク装着!
拓也を包み込んでいた炎が晴れると、初めてヴリトラモンの顔が映ります。キリッとした表情でこちらを睨み付け、透き通ったブルーの瞳が印象的に映ります。マスクで屈強なイメージを与えつつ、眼差しは真っ直ぐこちらを見据え、ただ強大なだけではない、ヒロイックな印象も受けます。
個人的な意見ですが、やっぱり変身ヒーローにはマスクだと思います。


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着地!
そして立て膝!


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両腕を交差させ…

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全身から噴き出す炎!!


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身をよじって振り払い…


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ヴ リ ト ラ モ ン!!!



………カッコイイ!!!

マスク装着からの一連の動作、煌めく炎のエフェクト、翼と尻尾、決めポーズ…もう全てがかっこいいとしか言いようがありません。
ここまで書いといてなんですが、このカッコよさは動画の方が上手く伝わると思うんです。
この記事を読んている方は恐らくとっくに視聴済みだと思われますが、それだけ動画にした時の完成度が高いということです。
そして、完成度だけでなく、情報密度の高さもこのバンクの特徴です。
獣の荒々しさ、そして力強さがこの30秒につまっています

ちなみに、進化バンクの原画担当はアニメーターの大塚健氏です(Twitterにて判明)。同氏はこの時点で既にアグニモンの進化バンクを担当していますが、後にマグナガルルモンやシューツモンといった、名だたる進化バンクを数々手がけることになります。

音響面


この進化バンクの良さは動きだけではありません。音響面もカッコ良いんです。

例えば、マスクを装着するときのガッキィン!という金属音や、ジェット機のような鋭い着地音など、耳で聴いてもカッコ良さを感じるポイントがいくつもあります。

拓也役の竹内順子さんの叫び声には迫力があり、拓也やアグニモンとの演じ分けもいい。ヴリトラモンの声は若干やんちゃで力強い印象を受けます。
そして!進化バンクといえば外せないのが『挿入歌』の存在です。和田光司さんが歌う『with the will』は爽やかながらも熱く、かかるだけでテンションが上がります。
困難を前にしても決してあきらめず、前に進もうとする歌詞は本編の展開とマッチしており、聞いてるこちらまで勇気づけられます。
ヴィジュアル面とオーディオ面ががっちりかみ合って、心地よい一体感が生まれます。

まとめ

以上、ヴリトラモンの進化バンクについて個人の見解で語ってみましたが、いかがでしたでしょうか。
長所という形でベタほめしましたが、しいて短所を挙げるとすれば、

①尺の都合でバンクが途中省略されたり、そもそもバンクが流れないことが多かった

②バンクのクオリティと本編の作画が釣り合ってない

ことでしょうか。
1番目は、拓也がアグニモンに進化することが多かったり、主役5人が全員進化してバンクの長さを調整する必要があった…などが主な原因だと考えられます。
2番目についてですが、デジモンフロンティアは4クールのテレビアニメ作品ですので、ある程度のクオリティの劣化は仕方ないでしょう。
ただし、劇場版『古代デジモン復活!』はこの限りではありません。ローリングコロナブラスターや空中落下ルードリー・タルパナ連射など、飛行能力を活かしたワイルドな活躍を見せてくれます。

この記事を読んで、ヴリトラモンというデジモン、そしてデジモンフロンティアに少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。ヴリトラモンはバンクだけでなく映画でもカッコイイので是非視聴してみてください。40分で終わるから!