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デジタルモンスター、特にデジモンフロンティアについて、一ファンの視点から様々な記事を展開しています。

超進化ステージ「デジモンアドベンチャーtri.」~8月1日の冒険~ 感想

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先日デジモンアドベンチャーtri.舞台化が発表され、無事に全日程が終了しました。
突然の舞台化、デジモンでは前例のない企画にファンは期待と不安に包まれました。では、実際に観に行った人の反応はどんなものでしょうか?いつも通りTwitterで感想を俺が検索ゥ!すると

「円盤買います!!!!」
「20年デジモンファンを続けて報われた」
「この人にtri.の脚本を書いてほしい」

といったパワーワードならぬパワー感想がどんどん出てきます。
自分の観測圏内ではこのように絶賛の嵐!という感じですが、この作品は本当に面白いのでしょうか…?エテモンの集団催眠なのでは…?
最初はスルーの予定だったのですが、思いのほか好評で興味がわき、千秋楽公演をニコ生で鑑賞しました。今回は、この愉快な舞台を鑑賞して思ったことについて書いていきます。
最低限にとどめていますが、本編のネタバレを含むので、未視聴のかたは注意してください。

 


1 シナリオ・登場人物

登場人物はそれぞれコミカルかつ無印、02の経験がしっかりと反映されており、非常に安定感があります。tri.特有の「これ大丈夫か…?」と不安になる会話のぎこちなさは一切感じられません。
特に主人公の太一は無印譲りのリーダーシップを発揮しつつ、tri.で描写された繊細な部分もシナリオに影響します。どちらか一方を優先するのではなく、両方の美味しい所が上手く取り入れられており、好感が持てます。
パートナーデジモンの思考能力はtri.本編と比べると上昇しており、子供たちの悩みにも「それってこういうことなんじゃないの?」と返すなど、心暖まる会話が繰り広げられます。こういうやり取りが見たかったんだよ!
特に印象的だったのが終盤の「それって太一の進化なんじゃないかな」「太一が進化するなら、僕だって進化できる」というアグモンの発言で、「パートナーとは何か?」という人外バディ物なら避けては通れない命題に、tri.の太一の背景(思春期真っ盛りで、過去の自分と比べた現在の自分にコンプレックスを抱いている)を活かし、説得力のある答えを出せています。パートナーとテイマーは一心同体、共に進化する存在なんやな…。
ところでリブートはどうなったんですか?


2 演出・俳優

デジタルモンスターの舞台なんて、モンスターはどうすんだよ!無茶だろ!」と最初は思いましたが、冒頭数分から生き生きと動く人形を見ると、杞憂だったすぐに思い知らされます。
「絵柄の違い!?知るか!」と言わんばかりに無印やtri.の本編映像がバックスクリーンに映し出され、とても賑やかです。「あのキャラが登場した!」とファンならニヤリとする場面も。
人形と化したモンスターの質感も中々のものですが、なんとメタルグレイモンとメタルガルルモンまで人形で表現しています。最初から登場しないか、出ても映像で済ますかと思ってましたが、この舞台に妥協という言葉はありません。成長期デジモンほどヌルヌル動きませんが、その分迫力で勝っています。
オメガモンは流石にオブジェでの登場でしたが、ぼくらのウォーゲームで印象深かったあの二人乗りも見事に再現。舞台で見たらまた迫力も違ったんだろうなぁ。
他の人も感想で触れてると思うので割愛しますが、アンサンブル・俳優の演技は完璧です。特に丈とエテモンは驚異の再現度。プロフェッショナルはすごい!

3 このオチはあり!?

終盤までなかなかにエモい展開が続く舞台版tri.ですが、最後は少しだけガッカリしてしまいました。
ネタバレを避けて説明すると、要するに「俺達の戦いはこれからだ!」ENDですね!
このラストが個人的に不満なポイントで、せっかく充実した体験が出来たのに、全てはあの猫が生み出した幻、集団催眠どころか胡蝶の夢(Butter-Flyだけに)ってのはちょっと…となりました。
これについては、tri.本家の最終的な到達点が不明瞭なので、迂闊にシナリオを飛躍できないという事情があってのものでしょう。ですので、脚本家の責任であるとは言いません。ぶっちゃけ時期が悪かったよね。
tri.が完結して落ち着いた頃にやってくれれば、triの補完作として更に良いものになったのでは…と考えたりします。

4 まとめ

近年のデジモンシリーズで一番腑に落ちた作品でした。将来について考え始める登場人物と、それを支え導くパートナーの構図が肯定的に描かれていたので、最終的な満足度は高かったです。

漫画版クロスウォーズや漫画版アプリモンスターズといい、デジモンって本編より外伝や派生作品の方が評価が高い傾向にあると感じるんですが、一体なんでなんでしょうね。まあいいや。

この舞台は、デジモンアドベンチャーデジモンアドベンチャー02そしてデジモンアドベンチャーtri.と真摯に向き合った作品だと思いました。デジモンアドベンチャーは好きだけど、tri.はちょっと…」と敬遠している人や、「tri.?前作を台無しにした駄作でしょw」と考えてる人も、視聴すればtri.への印象がちょっとは変わるんじゃないかと。
無論、デジモンアドベンチャーtri.のファンにもお薦めできます。そして、デジモン初心者の人にも「この機会に触れて欲しい」と思うクオリティではありましたが、この舞台を見るためにtri.を視聴しないと楽しめないのが最大のネックでしょうか。作品の良し悪しは別として、単純に映画4本分もあるしね。
ですので、この舞台を観て、「デジモンシリーズの新たな可能性」に想いを馳せてくれれば…という感想をもって、今回の記事を締め括らせていただきます。12月にDVDも発売されるから、興味のある人は買ってくれよな!

 

 

おまけ

舞台初日の18時公演では、アフターイベントとして宮﨑歩さんとAiMさんのミニライブが行われたそうです。歌った楽曲は

①brave heart~tri.Ver~

②The last element

③keep on~tri.Ver~

④スタンド・バイ・ミー~ひと夏の冒険~

の4曲でした。

 

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The last element!!?

デジモンフロンティアで使用された、あの曰くつき(受刑的な意味で)の名曲!?

なんで!?これデジモンアドベンチャーの舞台だよ!?

この曲を歌うって事前に分かってたらチケット買って観に行ったわ!!

でもライブってそういうもんだよね・・・。

 

というわけで、DVDの映像特典に収録されることを切に願います。

 

~おわり~