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デジタルモンスター、特にデジモンフロンティアについて、一ファンの視点から様々な記事を展開しています。

『デジモンフロンティア クリスマススマイル』を聴いてみんながもっとハッピーになれたらいいと思う

新作ドラマCDの詳細が発表されてしまいました。


当時のスタッフが再結集、声優はほぼ続投。一人くらい欠けるものだと思っていましたが、そこは上手く手を回してくれたようで、ほっとしました。
終了から16年経った作品のオリキャスが揃うのはとてつもなく幸運であることは理解していますが、それでも「あの〇〇がオリキャスで再演した!」レベルのありがたみが感じられないのは何故でしょうか。多分どのスタッフも未だに現役で「もう呼んでも来てくれないか…」というのがないからか。拓也と友樹は何年か前に共演したのもありそう。
でもみんなそろってよかったです。後は内容と声優の演技かな!

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兼役だからこその演出いいよね いい…

キャストコメントも公開されましたが、どの声優もおおむね好意的なコメントで安心しました。
が、友樹役・渡辺久美子氏が前振りもなく「レボリューションは革命という意味がある」とおっしゃってたのが引っ掛かりました。本編にそんな革命的な場面なんてあった?「エボリューション」の誤植じゃなくて?それとも新作ドラマCDの要素なのかな?気にするほどの事でもと言えばその通りですが。
確かに、フロンティアは(ある意味)かなり革命的な作品ですけど…

他には、拓也役・竹内順子氏の「思いの外主人公たちが負け続けている作品」という発言も中々際立っていました。そこに触れちゃう!?一応すぐ後にフォローしてます。
竹内さんは放送当時のインタビューでぶっちゃけた発言が多い方で、特に先日紹介したドラマCDのブックレットでは、今見ると中々にソリッドな発言が満載なので、気になる人は確認してみてください。
拓也を演ずることに複雑な思いを抱えているのがひしひしと伝わってきますが、一方で「拓也をもっと理解したい、そして拓也が魅力的になるように頑張りたい」という思いもハチャメチャに伝わってくるので、読んでて嫌な気持ちになることはありません。
演じる人が作品やキャラと真っ直ぐ向き合ってくれるのは、ファンとしてもうれしい限りです。


キャストコメントやインタビューを受けて、デジモンフロンティアは声優に恵まれた作品だとつくづく思わされました。声優のネームバリューだけでなく、人柄や演技も含めて。
というわけで今回は、そんな声優の魅力をもっと堪能することが出来る『デジモンフロンティア クリスマススマイル』についてご紹介します。



こちらは、『02』から『フロンティア』までリリースされた、デジモンシリーズのクリスマス・アルバムです。デジモンミュージックが特に調子に乗っていた2002年の冬に発売されました。この手のキッズ向けアニメで季節ネタのアルバムをわざわざ用意するものってあまり聞きません。デジモンシリーズはデジモンミュージックが特に調子に乗っていたこともあり、音楽面での福利厚生が異様に充実しているのがいいところ。

まずは恒例のジャケットレビューから。
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子どもたちがクリスマスにちなんだコスチュームを身にまとい、トレイルモンに乗ってプレゼントを運ぶという、一目でクリスマスだと分かる華やかなイラストです。
メンバーの過半数が普段から被り物を身につけているので、こういう場でも馴染みますね。特に輝二はとてもよく似合っています。一方帽子オン帽子の輝一は何なんだろう。

収録内容は撮り下ろしの3曲に加え、ボーナストラックとして6人の決め台詞が収録されています。お話の都合上、泉や友樹、輝一のデジコード・スキャンボイスは何気に貴重です…。


1曲目は『More More Happy Christmas』。
作曲は渡辺チェルさん、作詞は大森祥子さんです。ちなみに後述する「with the will」の作詞作曲もこのコンビ。いつもの6人がクリスマスへのワクワクを朗らかに歌い上げる、ユーモラスなナンバーに仕上がっています。歌詞には「リース・ベル」「甘いケーキ」といった楽しい記憶を想起させるワードが散りばめられ、クリスマスムードを高めるのにはぴったりです。
6人という丁度良い人数だからでしょうか、パート分けも丁度良く、
誰かが一段と目立っているのに誰かが全然目立たない
あるいは配分がカツカツで何が何だか…
といったことがありません。ただ、サビでハモった時に双子と友樹の声が目立ち、残りの3人の声が全然聞こえなくなるのが勿体ない。ポロックの調合のように打ち消しあっているのか?

途中で台詞パートが入るのもこの曲の特徴。これが中々味のある内容なので書き起こしました。

「なあみんな、願い事が一つだけ叶うとしたら、何を願う?」
「俺は…特にない。純平は?」
「俺は勿論!泉ちゃんと…テヘ❤」
「んもぉ…」
「で?輝一は?」
「んえぇ!?あー、あぁ…ええーと」
「えっと、私はピザ食べ放題!友樹は?」
「僕はヒーローになりたい!」
「「「「「じゃあ、拓也(お兄ちゃん)は?」」」」」
「俺は…、ははっ、みんながもっと、ハッピーになれたらいいと思う!!
「何だよそれ~!?」
「ははは、ハッピーか…」
「カッコいいだろ~!?ははっ、はははは!」
「うわ~い!カッチコッチ~!」

1分足らずですが、キャラの特徴を抑えた絶妙な掛け合いになっています。
大食い設定英雄願望キャラへの恋愛感情といった、アニメ中に提示された各キャラの特徴が、過剰にならずにちりばめられているのが上手いです。こういうのは少しでもバランスが崩れると悲惨なことになるので…。
拓也は「みんなハッピーになればいい」と突拍子もないことを言いだしますが、「原作でもこんな感じあったなあ」とも感じました。突拍子もない…というか直感的なことをポンと言えるのが拓也。手紙の途中で突然歌いだすのも拓也!だからこれはこれで悪くないと思います。あ、ほめてますよ?それにちゃんと純平がツッコんでくれたし。
そして輝一は、願い事を聞かれて狼狽えたり、ハッピーか…と含みを持たせるように呟くのが、彼の苦労がしのばれるようでとてもいい。寸劇パートから離れますが、輝一が「喜ばれるなら僕のケーキもあげたい」「贈るものをあれこれ考えるのもいい」と妙に献身的な歌詞を割り振られているのも、終盤の展開を考えると意味深です。


2曲目は『with the will』。アニメでおなじみの挿入歌のカバーです。
1曲目が子どもとしての一面なら、こちらは進化後の一面を押し出したような仕上がりです。特に純平が分かりやすいかな。サビや間奏は原曲より音が上がっており、原曲のカッコよさはそのままに、拓也達の明るさもプラスされています。
何気にフロンティアの声優は歌唱力が高く、キャラを意識させつつ歌そのものも安定してるのがいいと思います。特に竹内・鈴村氏の堂に入った歌いっぷりは見事。細かいけど、『運命にも(優しく諭すお兄さんのような声)』『逆らってやるぅ~(やんちゃな少年声)』の歌い分けに萌えました。
声優アニメディア2003年2月号で松井Pが「『キャラクターに主題歌をカバーしてほしい』というリクエストがダントツに多かった」と仰られていましたが、主演声優が主題歌や挿入歌のカバーを担当するのはオタクが喜ぶので、機会があればどんどんやってほしいです。手始めに2003年ライブの映像(音声)出して❤

3曲目は和田光司さんの『Christmas Night』。
作詞は歌手自らが手掛け、作曲はなんと…あの迷曲『折れた翼で-With Broken Wings-~輝一のテーマ~』の作詞作曲を担当したhaltaさんです。この人、ガッチと検索しても経歴や詳細といったものが全然ヒットしないんですよね。ひょっとして偽名?
ギターの音色が印象的な、しっとりとした一曲です。聖なる夜に遠く離れた誰かを想うような、ポエミーな歌詞が素敵です。遠く離れた場所で今も見守ってくれてる和田さんのことを想いながら聴くと、また違った味わいになりそう。


デジモンフロンティア クリスマススマイル』の紹介でした。
声優の演技に加え、渡辺チェル・大森祥子といった実力派のメンバーが揃い、ファンがハッピーになれる作品が完成しました。流石に『02』『テイマーズ』のクリスマスアルバムと比べるとボリュームの面で後れを取りますが、明るく・カッコよく・しみじみとさせられる、デジモンフロンティアのクリスマスらしい一枚です。是非聴いてみてください。


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トモキも頑張ってたし、俺もかんばらないと!
それではみなさん、メリークリスマス&よいお年を…。